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植物新品種の保護に関する検討会とりまとめ(案) -2019年12月16日
新品種流出抑止 種苗法を改正へ
2019.12.09 農業共同新聞
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2019/12/191209-39857.php
との報道がありました。
第6回 優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会
日時:令和元年11月15日(金曜日)
の配布資料が公表されており、
「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会とりまとめ(案)」(PDF)
に、おおよその方向性が示されています。
「優良品種の流出を防止するとともに、その持続的な利用を確保していくため、農林水産省は以下の事項の実現に向けて検討を進めるべき。
1 制度の理解促進を図るべき
植物新品種の保護の意義や種苗法の考え方が正確に農業現場に浸透するよう、特に以下について、国は都道府県や団体等と共同して意識醸成に努めるべき。
・農産物の品種には、大宗を占める一般品種と種苗法で登録された登録品種があること
・登録品種は、その品種の育成者の知的財産として保護されている品種であり、一定期間、その利用には育成者権者の同意が必要であること
・品種を利用する際の許諾料が、更なる品種開発・供給の促進に繋がることで、農業の発展に寄与すること
・登録品種以外の一般品種は、その増殖や利用に制限はないこと
2 主に海外流出防止のため、現行制度の見直しを検討すべき
(1)育成者の意図に反した海外流出を防止すべき
・登録品種の販売に当たって、国内利用限定や栽培地域限定の条件を育成者権者が付す場合には、これに反する行為に育成者権を行使できるよう制度を見直すべき。
・利用者の混乱がないよう、登録品種である旨や利用条件の適正な表示を義務づけるべき。
(2)登録品種の増殖は育成者権者の許諾に基づくべき
・登録品種の増殖は、自家増殖を含め、育成者権者の許諾に基づくこととし、増殖を行う者を明らかにすることで、海外流出防止できるようにすべき。
・農業者が育成者権者から簡便に許諾を得られるよう、許諾は団体等がまとめて行うことができることや、許諾契約のひな形を示すべき。
・育成者権が譲渡等された場合でも、既に許諾を受けている農業者が安定的に登録品種を利用できるよう配慮すべき。
(3)海外流出した場合等の権利侵害の立証の手続改善
・品種登録時の種苗との比較栽培を求められ技術的に困難となっている権利侵害の立証を、特性表を用いることで容易にすべき。
・特性表の作成に当たっては、育成者の育成の意図が反映され、海外登録にも活用できる質の高い品種登録審査を行うべき。その際、安定的な制度運営に必要な手数料を徴収すべき。
・他の登録品種の育成者権が及ぶとされている従属品種の範囲が不明確であることから、ガイドラインを示すべき。
(4)その他の見直し
特許法等、他の知的財産制度を参考として、種苗法においても情勢の変化に合わせて必要な改正を行うべき。
・職務育成品種の権利の帰属や対価にかかる規定の見直し
・訴訟において裁判所が証拠書類提出命令を出すか否かを判断する際、裁判官が対象書類を実際に確認できる手続を拡充
・海外からの出願者に日本国内の代理人設置を義務づける規定
・EPA等において、加盟国間で育成者権の共通の取扱いを規定する場合への対応
3 海外における権利化を推進すべき
・海外での優良品種の保護・活用を進めるため、海外における品種登録を促進すべき。
・権利侵害に対して実効的に対応するため、我が国で開発された海外登録品種の権利行使を一元的に実施する体制を整備すべき。
4 今後更に深掘りすべき課題
・海外における登録を円滑に進めるため、アジア等における国際協力や基準の国際的調和を進めるべき。
・品種登録情報に含まれる親品種の情報など、営業秘密とすべき情報の審査における管理の在り方について検討すべき。
・品種開発に向けた研究開発予算の充実を図るべき。
・伝統野菜等の一般品種を含め、農業者の高齢化による、種苗生産農業者の存続や伝統野菜の種子の維持に対して、適切な支援策を検討すべき。
・UPOVやITPGR等の国際的な場における今後の議論の進展に適切に対応すべき。」