実用新案とは
実用新案は特許と似た制度ですが、実用新案法が保護する考案は、あくまでも物品についての簡易な小発明であり、これらは中小企業や個人の手により生まれることも多く、また商品としてのライフサイクルも短いのが大半です。そのため発明のように長期間の独占権を与えるのは必要以上に第三者の実施を排除するという弊害があり、また、短期間の審査で権利化されるのが望ましいために、早期に登録するようにされています。
実用新案法で保護される「考案」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作」です(実用新案法第2条)。簡単にいえば、小発明、簡易な発明ということになります。したがって永久機関のように自然法則に反するものや、計算方法、ゲーム方法にように人間の頭の中で人為的にとりきめられた法則などが保護されないことは、特許法でいう発明の場合と同じです。
また、「物品の形状、構造、組合せに係る考案」だけが実用新案法で保護される対象となっていますので、たとえば方法の考案や、物の製造方法などは保護されません。
実用新案権を取得した際には、その考案の実施をする権利を占有し、他人が実施するのを排除したり、他人に実施権を許諾したりすることができます。
権利の存続期間は出願から10年です。
実用新案登録出願の手続
考案を完成させたときに、実用新案権という独占的な権利を得たいと考えたら、願書に、考案の内容や権利を得たい範囲を記載した明細書、図面、要約書を、特許庁に出願することが必要です。
実用新案登録出願がされると、方式審査(形式的な不備がないか)、基礎的要件の審査(物品に関するものか、公序良俗に反するものでないか、など)のみを経て、登録がなされます。3年間の登録料は、出願時に納付しなければなりません。また権利期間は出願日から10年間と短く規定されています。
考案の「新規性」(新しい考案)、「進歩性」(きわめて容易に考えつかないこと)、「先願であること」(同じ出願が前になかったこと)、明細書の記載内容が法に合致していること(発明の内容が開示され、記載不備でないことなど)、その他の要件を満たしているかどうかなどの要件は、登録後に、他人が登録の無効を主張して無効審判を請求した際に、その判断がなされます。
さらに権利の行使にあたっては、特許庁に実用新案技術評価書の請求をして、権利の有効性の一定の判断を得たうえで、その評価書を提示して警告しなければなりません。
登録になるのは簡単ですが、むやみに権利行使をしたりすると、後で無効になる危険性もありますから、慎重な対処が求められます。
実用新案登録出願の流れ
黒字に白抜き文字のところが、出願人・代理人が行うアクションです。
白地に黒文字のところは、特許庁が行う処理です。
実用新案登録出願に必要なもの
考案の名称
考案者(複数名可)
氏名
住所
実用新案登録出願人(複数名可)
氏名(名称)
住所
1 考案の属する技術分野(どのような分野の考案か)
2 権利を取得したいところ
3 従来の技術(従来の技術はどのようなものか、その欠点はどこか等)
4 改良点(従来の技術の欠点をどのように解決したか)
5 考案の具体的構成(図面、フローチャート等を用いて説明)
6 作用の説明(この改良により、その考案がどのように作動するか、その動作や機能など)
7 その他の実施の形態(応用例、変形例、具体的な様々な実施のバリエーションなど)
8 効果(従来の技術とくらべてどんな利点や優れた効果があるか)
9 参考資料・文献など