内容証明等
商標権、特許権、著作権、その他の権利侵害に対して、対処する方法はケースバイケースです。
通常の話し合いによって解決することもあれば、通知書・警告書を送付したり、さらには弁護士に依頼して訴訟などの法的措置を講じることもあります。
侵害の程度、損害の規模、相手方の状況や動向、権利者の意向などにより方針を決めることになります。
警告書の送付
権利侵害であることの主張・通知、相手方の行為に対する使用中止などの要求、これらに対する回答の要求などを記載して送付することが一般的で、通常は内容証明・配達証明郵便を利用して送付します。
内容証明は、郵便局が手紙の内容を公的に証明してくれる郵便です。
内容証明郵便を利用する理由は、郵便物を差し出した事実、差出日付、郵便物の書面の内容を証明する証拠とすることができるからです。後に訴訟になった場合などには重要な証拠となります。
また、配達証明付にする理由は、配達証明(配達証明郵便)を併用することにより、相手方が郵便物を受領した事実、受領日付を証明することができます。
内容証明は、所定の書式により、同文の手紙が3通作成され、1通は相手方、1通は自分、1通は郵便局に保管されます。
紛争の予防措置
紛争をあらかじめ予防する措置の一つとして、覚書、契約書、和解書などを公正証書にして保管しておくという方法があります。
公正証書とは、公証人が公証人法に基づいて、私人間の契約や権利・義務に関する事実について作成した証書です。
当事者本人または代理人が、公証役場に出頭して作成するものです。
契約書、覚書、和解書などの文書を公正証書にしておくことにより、私文書が公文書としての推定を受け、真正な文書であることを証明することが容易になります。
ドメイン名の紛争手続
日本語ドメインについて
不正目的の登録、フライング登録が目立っています。 たとえば「近畿日本鉄道.com」「小田急電鉄.com」などが全く関連のない第三者により取得されています。こうした場合には問題になり、紛争処理機関などでの解決が図られるでしょう。
JPNICの紛争処理
JPNICが管理する「co.jp」「ne.jp」などであれば、紛争処理機関として、工業所有権仲裁センターが裁定手続を行いますが、ドメイン名の移転・取消の対象としては、
(1)ドメイン名が、裁定申立人が権利を所有する商標その他の表示と同一又は混同を引き起こすほど類似していること
(2)登録者がドメイン名登録についての権利又は正当な利益を有していないこと
(3)不正目的で登録又は使用されていること
となっています。
WIPOの紛争処理
gTLDドメインの紛争処理については、世界知的所有権機関(WIPO)の勧告により統一ドメイン名紛争処理方針をICANNが採択。悪用、濫用、悪意、不正目的のために登録されたドメイン名を排除(移転・取消)する目的で、WIPOなどが仲裁手続を行います。商標権者などの仲裁申立人の勝率は8割だそうです。必ずしも商標登録されていなくても、「hitachi2000.net」「mysony.com」などが移転対象となっています。 例えば日立製作所が移転のために主張したポイントとして、
(1)日立は世界各国でHITACHIを商標登録している。
(2)ドメイン名取得者は日立とは関係なく、商標も持っていない。
(3)ドメイン名と引き換えに多額の金銭を要求。他企業に対しても同様であった。
仲裁機関による紛争解決として、裁定手続のおおまかな流れと、手続の最大日数(累計)は、
申立書の提出
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申立書の受理(1日)
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申立書の方式審査
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申立書を登録者に送付(13日)
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答弁書の提出(33日)
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答弁書を申立人に送付
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パネルの指名(38日)
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パネルによる審査
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裁定の通知と公表(55日)
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裁定結果の実行(65日)