地域団体商標とは
地域団体商標の制度は、一般には「地域ブランド」という名称で知られています。
「夕張メロン」に代表されるような、「地域の名称+普通名称や慣用商標」から構成された商標について、一定要件のもとに登録を認める制度です。
「地名+商品名など」を単に普通の文字で表示しただけの商標は、本来は誰もが使用する言葉のため、例外を除いては登録できませんでした。
このため以前は、「地名+商品名など」の商標をロゴとして図形商標にしたり、図形と文字とを組み合わせた商標にするなどして登録したり、例外として相当程度著名になったものだけが、登録が認められているものでした。
地域団体商標の出願人資格
事業協同組合、農業協同組合、漁業協同組合などの適格な団体であること。
自由にその構成員として加入することができるものであること。
これらの内容を、書面の提出により証明できること。
団体の構成員に使用させる商標
団体に加入する構成員が使用する商標であること。
団体が使用する商標であってその構成員も使用すると推定される商標であること。
商品・役務の表示として周知商標
団体またはその構成員の商品・役務を表示するものとして、隣接都道府県などの範囲の地域で周知となっていること。
周知商標と同一の商標を、同一の指定商品・指定役務について登録するものであること。
これらの内容を、書面の提出により証明できること。
その他の商標の要件を満たすこと
商標とドメイン名
商標に絡むドメイン名については商標権者側が保護されるように法制度なども整備され、不正競争防止法の改正により、企業が保有する商標に絡むドメイン名の不正使用差止と損害賠償規定が盛り込まれました。
登録第5013910号
一方、商標は著名になればなるほど、その価値は増大しますが(例えば「SONY」「VAIO」)、近年、ネットビジネスを中心に、従来では考えられなかったほど急激にブランド名・商標の著名度を拡大する事例が見られます(例えば「アマゾン・ドットコム」「楽天」「アスクル」)。
登録第4562202号
さらに、ドメイン名とサイト名(または企業名)とを効果的、印象的なネーミングにして効果を得ている事例も多く見られます。
団体商標の登録
団体商標とは、事業者を構成員に有する団体がその構成員に使用させる商標であって、団体の構成員に係る商品または役務としての共通的性質を表示するもので、長野県の味噌の製造販売業者の「信州味噌」、京都の織物業者の「西陣織」などのように、民法34条の規定により設立された社団法人若しくは事業協同組合、その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く)、又はこれらに相当する外国の法人が登録できるものです。
団体商標は、その構成員に使用をさせる商標で、、通常の商標登録出願と同様の一般的、具体的適格要件等を満たすことも必要とされます。
小売業の商標登録
小売業者及び卸売業者は、店舗設計や品揃え、商品展示、接客サービス、カタログを通じた商品の選択の工夫等といった、顧客に対するサービス活動を行っていることが知られています。
小売店・卸売業者等により提供されるこれらのサービスは、第35類の小売等役務として登録し、保護されます。
小売業者・卸売業者・ネットショップ・商社・通信販売事業者等により使用される商標を、第35類の1区分で、所定の要件を満たすことを条件に効率的に保護することができます。
小売等役務
小売等役務は、商標法では「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と規定しています。
たとえば、下記のようなサービスについての登録が認められます。
・商品の品揃え
・商品の陳列
・接客サービス
・ショッピングカート・買い物かごの提供
・商品の試用
・商品の包装・紙袋・レジ袋の提供
・顧客の商品選択の便宜のための通信販売カタログの提供
・顧客の商品選択の便宜のためのウェブサイトの提供
商標の使用意思の審査
取り扱い商品の範囲が広すぎる等の疑義がある場合には、登録が認められないことがあります。
商標の使用意思があることに合理的な疑義がある場合には、拒絶理由通知によって、商標の使用またはその使用の意思を確認するため、その証拠の提出が求められます。
拒絶理由通知が送付されるケースは多く、、商標の使用意思の確認は、指定役務についての業務を行っているか、または行う予定があることを立証する必要があります。
実際には商標を使用する意思とその事業計画の提出で、登録が認められる方法があるものの、過度に広い範囲で登録することは難しいため、慎重に判断して決める必要があります。
商標の先後願の審査
(1)小売等役務の商標同士
出願された小売等役務の商標は、小売等役務の商標と相互に先後願の審査を行います。
(2)小売等役務の商標と商品の商標
出願された小売等役務の商標は、商品の商標と相互に先後願の審査を行います。
小売等役務と類似する商品の商標との間で先後願の審査を行います。
※あらゆる商品を取り扱う、デパートやスーパーなどの総合小売については、商品の商標との相互の先後願の審査を行いません。